真夏の日

連日、酷暑の日が続く。どうか、今日の夕方には雷が来て欲しい。そんな願いを空の雲に託しながら、カキ氷を食べている。窓から見える田んぼの稲は、緑の穂が出揃った。時折吹く風がアシの葉を揺らしている。

ハスの花

こう毎日暑くては、水の近くに行きたくなる(笑)。そこで霞ヶ浦の湖畔に行った。あちこちに蓮田が広がっている。ちょうど今頃は花の季節。大きな白やピンクの花が、鮮やかな緑の葉の中のあちこちに首を出している。車を止めて写真を撮ろうとしたが、多くが閉じている。そのはずである。ハスの花は、早朝に開花して昼頃には閉じるのだ。

それにしても、何度見ても見事な美しさだ。ヒンドウー教や仏教などの世界の宗教で「聖なるもの」の象徴としているのがよく解る。それに、花も実も葉も根も、植物体のすべてが食べられる。見て美しく、食べて美味しい。加えて「アリガタイ」。こんな完璧な植物は他に無いのではないかと思う。

 

野生動物のサンクチュアリ

庭の南側に行ったら、草地が何者かに掘り返されて大きな穴が空いていた。犯人はイノシシに違いない。イノシシの奴め、地中の昆虫やミミズを探したのだろう。昨夜の仕業に違いないが、僕は全く気が付かなかった。

もともと、庭の南側は野生動物たちのサンクチュアリにしようと思って、ヒノキやサワラ、シラカシやクス、サクラなどを植えた。今では木々が育って、鬱蒼とした林のようになっている。目論見通りに動物たちの解放区になったのは嬉しいが、それにしても酷い荒らし様だ。

 

夏の海を見に

朝からすっかり晴れて暑い。こんな日は海だ! 鉾田の玉田海岸へ海を見に行った。月に一度は海を眺めて波の音を聞かないと心身の調子が悪くなる(笑)。

海岸近くの高台に登ると目の前に太平洋が広がる。波は静かで、水平線近くを走る船が小さな点のように見える。止まっているかのようだ。白とオレンジの大きな船は、北海道から戻ってきたフェリー船だろう。サーフィンを楽しんでいる人もいる。砂浜では、子供達が波と遊んでいる。時々、「キャー、キャー」という甲高い声が聞こえる。

昨年、キャンプ場に開設されたカフェに入った。三方がガラス張りで、座ったままで太平洋が眺められる。野外には、いくつもの白いパラソルが林立して、その下の席でもお茶が飲める。茨城の海岸には、場違いを感じるほど「オシャレ」である。若いカップルやグループが、冷たい飲みものを片手におしゃべりしている。僕はあまり美味しくないコーヒーを、チビリチビリと飲みながら、時折、海の方から吹く風を楽しんでいた。その気持ちの良いこと!開放感に満ちていること!いつまでも席を立つ気にはなれなかった。

 

 

ノカンゾウ(野萱草)

近くの田んぼの畦道に、ノカンゾウの花が咲いていた。この辺で良く見かけるのはヤブカンゾウだが、これは一重の花弁である。間違いなくノカンゾウだ。こんなに大きな群落が、小屋のすぐ近くにあったなんて、これまで気が付かなかった。山と畔草の深い緑、そして、だいぶ成長した田んぼの稲の中で、濃いオレンジの花が良く目立つ。八重のヤブカンゾウより少し後から咲く。別名はワスレグサ(忘草)。どうして、そんな名前なのかは知らない。

ノカンゾウ

この草は、春の出立ての若芽も美味しいが、今頃の花を摘んで甘酢漬けしたものは色鮮やかで美味しい。薬効もある。

画家の筆

いま笠間の『Nobu’s Gallery&Cafe』で開催されている『稲田 務 遺作展』に行ってきた。会場には、科学絵本の原画となった昆虫の精緻な水彩画や鉛筆画の他に、墨と水彩、パステルを使った植物や墨のダイナミックな抽象画なども展示されている。植物好きの僕としては、墨のボカシが描く独特の空気感の中に横たわっている枯れたカラスウリや椿の花に強く惹かれた。観入っていると、いつの間にか奥様が後ろに来て、「主人は描いている時は、絶対に部屋に入れてくれませんでした」と言った。解るような気がする。稲田画伯は、自分と描いている対象だけの世界に集中していて、奥様と言えども入り込ませたく無かったのだろう。

会場には、稲田画伯が使っていたたくさんの筆やルーペが展示されていた。すべて、自然の竹や木片を削って余りの布を巻いたりした手作りだ。奥さんは、懐かしそうに「これから竹を取りに行くから、お前も一緒に来い」と言われたことがあると話していた。
僕は、まだ、筆先の墨が乾いていないように思われて、そっと触ってみた。当前だがカチンカチンに乾いていた。壺には、細長い柄をつけた高倍率のルーペが二本立てかけてあった。部屋に一人籠って、ルーペを覗きながらこれの筆を握り締めて、繊細で精緻な絵を描いている画伯を想像したら、もう一度じっくり絵画を鑑賞したくなった。

遺作展は、18日(火)まで。

 

ヤマモモ

鉾田の知人の家を訪ねたら、庭に踏み入るなり異様な匂いがする。ヤマモモの果実が、地面一面に落ちている。それが臭うのだ。その上には、高さ数メートルにもなるヤマモモの木が茂っている。見上げると、濃緑の広い葉に隠れるようにして、真っ赤な果実がたくさん付いていた。このヤマモモの実は、生食ができて、甘酸っぱく、独特の風味がある。ジャムや果樹酒などにも利用される。ヤマモモは、バラ科の「桃」とは全く異なった仲間で、ヤマモモ目ヤマモモ科の樹木である。温暖な地方に生育し、分布は南関東(房総半島南部、福井県以西)の本州、四国、九州、沖縄である。味にも甘いのや、ヤニっぽいのや、いろいろがあるらしい。山口県の友人は、子供の頃、山の中で味の良いヤマモモの木を探すのが遊びで、見つけた甘いヤマモモの木は、自分だけの秘密にしたと言っていた。

友人に聞いたら、以前はジャムに加工したが、種子を取るのが面倒で、最近はもっぱらハクビシンの餌になっていると言う。市中で見かけないのは、この果実はすぐ痛んで保存ができないからである。丈夫な木なので、最近は公園や街路樹などに植えられている。もしかすると近くで実が付いている木があるかもしれない。今が旬である。

ニラ メンチカツ

トンカツを食べ歩っている人からの情報で、小美玉に珍しいメンチがあるというので、早速、今日の昼食に行った。町の定食屋さんという感じで、道路脇のあまり大きな店では無かったが、メニューは豊富だ。今回訪れた目的はその中の「ニラ・メンチ定食」である。大きなメンチの断面は鮮やかな緑色で、たっぷりニラが入っているのがわかる。熱々のメンチを頬張ると肉汁の旨味にニラの香りが混じって美味い。こんなメンチは初めてだ。このお店は、どうもニラを使った料理が得意らしい。他に「ニラ蕎麦」なんてのもある。メインのトンカツの他にいろいろ面白いものがある。次回は、「ローズとんかつ」と正統派で攻めるつもりだ。

お腹はいっぱいになったし、天気はどんよりとして蒸し暑い。帰り、運転していて眠くて困った。

ヤマユリが咲いた

ついに、北側斜面のヤマユリが咲いた。昨日まで大きな蕾だったのに、今朝見たら、大きな花が3つも咲いていた。このヤマユリは、毎年、ここで必ず咲いてくれる。そして次々と新しい株が増える。近づいて、大きな花弁を覗き込むと、赤い斑点が夜空の星のよう。じっと、見つめていると奥へ奥へと誘い込まれる。虫になった気分。

それにしても、こんな花が、誰かに植えられた訳でもなく、人知れず林の中で咲いているなんて、奇跡のように思える。

ヒメコウゾとカジノキ

 

ヒメコウゾ

すごい!3日連続して投稿する。今日は、クワ科コウゾ属のヒメコウゾ(姫楮)だ。庭に出たら、真っ赤な宝石のようなヒメコウゾの実が目についた。この実は見るからに美味しそうだ。その通り、甘くてジューシーではあるが、食べると舌にザラッとしたものが残る。これさえなければ良いのだが残念である。毒ではないので、林縁などで見つけたら、ぜひ試食して欲しい。

和紙の原料となるコウゾ(楮)は、この木とカジノキ(梶の木)の雑種である。以前、ちょうど今頃の季節、お茶をやっている人から、カジノキの葉を採ってきて欲しいと言われたが、これには困った。日本では中部地方以西にしか分布していないのだ。カジノキは樹高も葉もヒメコウゾよりずうっと大きく、茶道では夏の時期に、葉を水指の蓋として「葉蓋点前」に使う。この木は、古代から神に捧げる神木として神聖視されてきたから縁起をかついだ風習なのだろう。仕方なく、ヒメコウゾの出来るだけ大きな葉を探して持って行ったが使ってくれたかどうかわからない。

藪萱草

近所の草地を流れる小川の脇に、ヤブカンゾウの花が咲いていた。草の緑の中で、オレンジ色がよく目立つ。この花とノウゼンカズラの花を見かけると、「いよいよ夏だな」と思う。ギラギラした陽射し、青い空に浮かぶ真っ白な積乱雲。それに濃いオレンジ色の花は真夏のイメージだ。これとよく似たのにノカンゾウがあるが、判別は簡単だ。八重の花がヤブカンゾウ、一重のがノカンゾウ。さて、近所に咲いているのは、どっちかな?

ヤブカンゾウ

 

『山桜』直売所

笠間から御前山に向かって、ほとんど山の中を走る「ビーフライン」がある。交通量も信号も少ない。深い緑の山中を、ゆったりとしたアップダウンとカーブが続く。今日のような青空の日に、(ある程度の)スピードで走り抜けると実に気持ちがいい。その途中、少し休憩したくなった頃に、城里町の『山桜』直売所が突然現れる。うまい場所にあるものだ。つい誰でも、寄ってみたくなってしまう。今日も、多くの客で賑わっていた。車も多いが、たくさんのバイクが集まっていた。中高年ライダーたちの集合場所のようだ。野外のテーブルに車座になって、団子を齧りながら情報交換に余念がない。

『山桜』直売所

僕も『ビーフライン』を走ると、必ず、この直売所を訪れる。画一的な「道の駅」などよりずっと面白い。併設されている蕎麦屋が美味しいとの評判だが、僕の興味は軒下の「生きもの」売り場である。地元の人が展示販売しているのだと思うが、行く度に内容が変わっている。ある時はコゴミやヤマユリの株だったり、野生の川魚や昆虫の鉢だったりする。メダカはいつでも置いてあるが、タナゴやライギョの稚魚だったりクチボソやシマドジョウだったりとする。僕の水槽で飼育できるような小魚があったら買って帰ろうと思って訪れたのだが、今日、売っていたのはウナギであった。それも一匹1000円の小さいのから2700円もする大きなものまでがビニール袋の底で丸まっていた。ウナギでは買うわけにはいかない。いくら土用の丑の日が近いといえ、自分でさばいて蒲焼きにする勇気はない。僕の小さな水槽では入りきらない。眺めただけで、次の目的地の清音寺に向かった。

ウナギ