大山桜が倒れた!

一昨日、流山の自宅に帰っている時に、突然、「上青柳の大山桜」が根元から倒れたとの連絡があった。驚いた!今年の春に見事な花を咲かしていたのに信じられない。満開の花の下で、皆んなで楽しく食事をしたのを思い出したら、一層悲しくなった。

八郷に戻って、小屋に行くよりも先に大山桜を見に行った。高さ25m、周囲4mもある大木が、谷の方向に哀れな姿で横たわっていた。この山桜は、僕が八郷に来て以来、約二十年間、毎年見ていた。何度も観察会も開いた。木の下で子供たちと遊んだ。

この桜は、竹やぶに囲まれて育ったせいか樹高が高い。生えている場所も土壌が薄く、岩盤があって深く根を張れなかったのかも知れない。木の大きさの割りには、根張りが貧弱である。また、一見、樹勢は旺盛なように見えたが、腐敗が入っていた。先日の台風には耐えられなかったのだろう。

2023年4月2日 最後の花姿

長い間、美しい桜を咲かせてくれてありがとう。「さようなら!」

 

 

「雪入山脈」のタマゴタケ

定例の 自然観察会で、かすみがうら市と八郷の境界となっている「雪入山脈」を歩いた。行きは国有林の中、帰路は尾根道である。尾根に出たら、遠くの霞ヶ浦を背景にして出島や神立の家並みが眺められる。吹き上がって来る風が涼しくて気持ちいい。

ふと、足元に目を向けたら、真っ赤なキノコが生えている。タマゴタケだ!ここにも、あちらにもと仲間の声がする。あちこちに卵の殻を破って、可愛い赤いキノコが顔を出している。タマゴタケは、一見あまりにも派手な色をしているので、毒キノコだと思われているが、実は美味しいキノコなのだ。早速、採取した。
これを今夜の夕食にしよう。パスタにするか?オムレツか。単にバターで焼くのもいいかもしれない。あれこれメニューが浮かぶ。しかし、ふと一瞬、もしかしてタマゴタケに似ている毒キノコかも?という思いも頭をよぎる(笑)

 

 

ピーがいない!・・・

一昨日のこと、朝起きたら、いつも「おはよう!」と近づいてくるピーの姿がない。外に遊びにでも行っているのだろうと、気にもとめなかったが、昼になっても戻って来ない。こんな事は初めてだ。少し心配になったが、僕は用事で外出しなければならない。帰る頃には戻っているだろうと軽く考えていた。しかし、用事が済んで小屋に戻っても、まだ、ピーの姿が無い。置いておいたキャットフードも食べた形跡がない。心配になってきた。だんだんと陽も暮れてきた。森に暗闇が迫ってきた。「ピー、ピー」と喉が痛くなるほど大声で呼んだ。いつもなら、「ボクはここだよ」といいながら、藪の中から現れるのに今日は来ない。

もしかすると、交通事故にでもあって、その辺で死んでいるのではないか?何か毒でも食べて草むらで倒れているのではないか?今頃、一人で苦しんでいるかもしれない。いろいろと不吉なことが頭をよぎった。必死で小屋の周辺の道路や林を探した。黒い塊を見ると、もしかしてピーかと思い、何度も近づいたが、いずれも草むらだったり木の株だったりした。その度にドキリとしてやがて安心した。頭上の杉の梢では、カラスが鳴いている。日頃、こんなにカラスが鳴くことはない。しだいに、ピーのやつ、僕に別れの挨拶もしないで死んでしまったのかと思うようになってきた。あいつが僕のところに来た時は、掌に乗るくらい小さな子猫だった。その愛くるしい姿が思い出された。もう、それから15年間、ずうっと一対一の生活を送ってきた。お互いに何を言っているのかも、少しは分かるようになってきた。この15年間のいろいろな思い出が駆け巡る。寂しい時も嬉しい時も一緒だった。不安なとき、どんなにアイツに慰められたことか。励まされたことか。それが、今日、すべて終わったかもしれないのだ。悲しみが込み上げてきた。

半ば諦めて、明日明るくなったら、もう一度探してみよう。そして必ず亡骸を見つけてやろうと思いながら、ベッドに着こうとした。その時である!ベッドの足と裏ドアの狭い隙間に黒い塊が横たわっているではないか!そっと、触って見たら、フワフワした温かな毛並みに触れた。ピーだ!こんなところにいたのか?でも、グッタリしている。どこか具合が悪いようだ。そっと、抱き上げて布団の上に寝かせたが、また、よろよろとした足取りで、薄暗いベッドの隙間に隠れてしまう。昨夜から何も食べていないようだ。そこで、閉店間際のスーパーまで車を飛ばし、魚のゼリー状のキャットフードを買ってきて、口元に差し出したら少し食べてくれた。これなら大丈夫だ!安心した! どうしたのだろうか?何か病気だったのだろうか。この連日の暑さで日射病になったのだろうか?

幼い頃のピー

今日はすっかり元気になり、以前のように、僕と遊んだり、外で遊びまわっている。ピーに言い聞かせた。「少なくとも、お前はあと五年間は元気で生きるのだぞ!」と。あいつは解っているのか解らないのか、「ピューイ」と鳴いて返事した。

夏の日差し

今日は朝からすっかり晴れて、強い夏の日差しが庭の木を照らしている。ピーは、開け放たれた窓枠の上に乗って庭を眺めては、「今日も暑くなりそうだ!」と溜め息をついている。

夕方、筑波山の上に大きな入道雲が立ち上った。落日の光が雲に遮られて、天空に大きな矢印形の影を投影している。(わかった!ワカッタ!太陽はそこにあるのだね)。昨日の激しい雷雨で大気が澄んだのだろう。いつもより空の蒼さが濃いようだ。

 

真夏の日

連日、酷暑の日が続く。どうか、今日の夕方には雷が来て欲しい。そんな願いを空の雲に託しながら、カキ氷を食べている。窓から見える田んぼの稲は、緑の穂が出揃った。時折吹く風がアシの葉を揺らしている。

画家の筆

いま笠間の『Nobu’s Gallery&Cafe』で開催されている『稲田 務 遺作展』に行ってきた。会場には、科学絵本の原画となった昆虫の精緻な水彩画や鉛筆画の他に、墨と水彩、パステルを使った植物や墨のダイナミックな抽象画なども展示されている。植物好きの僕としては、墨のボカシが描く独特の空気感の中に横たわっている枯れたカラスウリや椿の花に強く惹かれた。観入っていると、いつの間にか奥様が後ろに来て、「主人は描いている時は、絶対に部屋に入れてくれませんでした」と言った。解るような気がする。稲田画伯は、自分と描いている対象だけの世界に集中していて、奥様と言えども入り込ませたく無かったのだろう。

会場には、稲田画伯が使っていたたくさんの筆やルーペが展示されていた。すべて、自然の竹や木片を削って余りの布を巻いたりした手作りだ。奥さんは、懐かしそうに「これから竹を取りに行くから、お前も一緒に来い」と言われたことがあると話していた。
僕は、まだ、筆先の墨が乾いていないように思われて、そっと触ってみた。当前だがカチンカチンに乾いていた。壺には、細長い柄をつけた高倍率のルーペが二本立てかけてあった。部屋に一人籠って、ルーペを覗きながらこれの筆を握り締めて、繊細で精緻な絵を描いている画伯を想像したら、もう一度じっくり絵画を鑑賞したくなった。

遺作展は、18日(火)まで。

 

ニラ メンチカツ

トンカツを食べ歩っている人からの情報で、小美玉に珍しいメンチがあるというので、早速、今日の昼食に行った。町の定食屋さんという感じで、道路脇のあまり大きな店では無かったが、メニューは豊富だ。今回訪れた目的はその中の「ニラ・メンチ定食」である。大きなメンチの断面は鮮やかな緑色で、たっぷりニラが入っているのがわかる。熱々のメンチを頬張ると肉汁の旨味にニラの香りが混じって美味い。こんなメンチは初めてだ。このお店は、どうもニラを使った料理が得意らしい。他に「ニラ蕎麦」なんてのもある。メインのトンカツの他にいろいろ面白いものがある。次回は、「ローズとんかつ」と正統派で攻めるつもりだ。

お腹はいっぱいになったし、天気はどんよりとして蒸し暑い。帰り、運転していて眠くて困った。

「名店」を見つけた

 

自宅から小屋に戻る途中、途中で休みたくなって、我孫子市布佐の『リーバーサイド』というカフェに入った。名前の通り、手賀沼の水が利根川に流れ込む手賀川の土手脇にポツリとある。まず、店構えからして、どこかしら惹きつけるものがある。この僕の「カン」は当たっていた。
店内は、長い時間に燻されたような色調である。壁に架かっていたプレスリーやマリリン モンローの写真も色褪せている。その下にあるCDジャケット棚も薄汚れている。カウンターテーブルの上には、コカコーラとミネラルウオーターのガラス瓶が並んでいる。コーラ瓶の紙ボックスの写真も色褪せている。今でも中身が入ったままのようだ。カウンターにすくっと立っているマスターの風貌が、これらの年代物と上手く調和している。80歳ぐらいだろうか?今では髪もだいぶ薄くなっているが、「老ロックンローラー」という表現がピッタリで今なおカッコイイ。若いときは、リーゼントスタイルが、いかにも似合っていただろう。隣の優しそうなお婆ちゃん(奥さん)に「この店はどのくらい前から営業しているの」と聞いたら、「私らは四十年前からここでやっている」という。そして「歳がわかっちゃう」と。このカフェの雰囲気は、ロックンロールに夢中になっていた若い二人が、四十年の時間をかけて作り出したものだったのだ。

しばらく、カウンターでコーヒーを飲んでいたら、作業服を着た二人の若者が入ってきた。そして、「パンチくん」とか「布佐駅交番」とかを注文している。何だと思ったら、メニューにそういうのがあるのだ。他に「デビちゃん」だの「サリーちゃん」だの「JRスペシャル」なんてのもある。出てきた料理のボリュウムに驚いた。ものスゴイ量なのだ。さすが注文した二人も声をあげた。思わず僕も写真を撮らせてもらった。その様子を見ていたマスターが、「これがウチの店の名物だからね」と言いながら笑っていた。僕も引き込まれて、あまりお腹が空いていないのも関わらず、つい、チキンライスを注文してしまった。その量の多さにたじろぐほどだったが、ちゃんとマッシュルームなども入っている本格的なもので美味しかった。おかげで完食できた。ここは間違いなく「隠れた名店」だ。

コーヒーに夢中

最近、夢中になっているのは、コーヒーの焙煎とドリップだ。如何に、美味しいコーヒーを実現するかで夢中になっている。丁度、一年経って小型焙煎機の取り扱いにも慣れた。安定して上手く焼けるようになった。ドリップは、最近になりハイブリッド法を知って、この方法で淹れるようにしたら、雑味が消えて後味が良くなった。これで飲むための環境は一応完成したが、残るは生豆だ! 実は、二年前から、コーヒーの木も育てている(笑)。今ではだいぶ大きくなった。当たり前だが、べつに、これで豆を収穫しようとしている訳でない。深い緑が美しいので観葉植物として育ているのだ。今年も無事に八郷の小屋で冬を越すことができた。今では次から次へとみずみずしい葉を付けている。あと、三、四年もすれば、白い花を咲かせ、真っ赤な果実が収穫できるだろう。でも、実ったら、やはり飲んでみたい(笑)。

今日の午後、雨の降る中、岩間の『橋本焙煎所』に行き、エスプレッソを試飲させてもらった。マシンは、イタリアのLeLIT、グラインダーもエスプレッソ専用のもの、使った豆は、マスターがエスプレッソ用に焙煎したアラビカ種だ。
美味かった!コーヒーの香ばしさや美味さが凝縮している。通常のコーヒーが煎茶なら、エスプレッソは抹茶だ。こんな田舎(失礼)で、本格的なエスプレッソが飲める場所が誕生したのが嬉しい。もう少しすれば、本物のカプチーノやカフェラテなども楽しめるようになる。

ホタルの季節

友人夫妻が、ホタルを見たいというので下見に行った。毎日、僕が散歩するコースの脇だ。午後7時45分、あたりはすっかり闇に包まれた。遠くの地平線だけが、ほんのりと明るい。
いた!イタ! 水路の上を数匹のゲンジボタルが飛んでいる。まだ、それ程ではないが、ゆったりと明るい光を発しながら堀の上を飛んでいる。これまで毎年見ていた小川がコンクリートの三面ばりになって蛍がいなくなったのでガッカリしていたが、今回、その近くで新たな場所を見つけた。
八郷のゲンジボタルは、今頃から中旬までの間に多く出現して、それ以降は小さくて忙しない飛び方をするヘイケボタルと切り替わる。ホタルを鑑賞するならゲンジボタル。そして、時期なら今だ!

ゲンジボタルの光は強い。光の点滅も飛び方もゆったりとしている。暗闇で、突然、一匹のゲンジボタルと出会うとドキッとする。誰かの「魂」と出会ったかのように・・・。

 

やさとの日々

今日も、『やさと図書館』で過ごした。最近、ここは「僕の書斎化」しつつある。読んだ本は、最近、刊行されたヘニング・マンケルの『スウェーディッシュ・ブーツ』だ。これは既刊の『イタリアン・シューズ』の続編であると同時に独立した作品でもある。読んでいて、冷たく澄み切ったスウェーデンの海と静かな小島で展開する出来事に心が奪われ、時間が経つのも忘れてしまった。
ふと、頭をあげたら、スリットカーテンの間から、青く根付いた水田が見えた。

帰り、久しぶりに『大覚寺』に寄った。清らかな空気が境内に漂っていた。静かだ。「裏見無しの池」では、白い睡蓮が咲き始めていた。

 

愛用のコーヒー焙煎機

 これが、一年前から僕が愛用しているコーヒー焙煎機だ。韓国KALDI社の製品で、一番シンプルな(安い)手回しのロースターである。これを、カセットガスコンロの上に置いて使う。最近になって、やっと、なんとかマトモな豆が安定して焼けるようになった。

 すると欲が出て、今より少しでも美味しい豆を焼こうと思って、熱を逃さないために焙煎ドラムの上に金属製の帽子をかぶせることを考えた。100円ショップをあちこち回って、ステンレスのボウルやトレイを買ってきては試してみたが、どうも外観がシックリしない。そこで、今日はとうとう鍋まで入手してしまった。どうやら、このステンレスの小型鍋が一番マシなようだ。結果、ボウルやトレイが5個も集まってしまった(笑)。

 こうしてあれこれ試しては失敗して、悩んだり考えている間が、一番楽しい!

三仙人の「お茶会」

 昨日は、彫刻家のM氏宅でおじさん3人の「お茶会」だった。午後1時から始まり、お開きは午後9時と延々8時間。それでも話題は尽きない。次回の開催を約束してお開きとなった。もちろん、お茶会だから、飲みものはコーヒーとお茶だけのノンアルコール。つまみは、和菓子とM氏コレクションの石ころだけ。長丁場になったので、奥さんが料理を差し入れてくれた。美味かった!楽しかったな〜。何を話していたかって?それは秘密(笑)。

雲を見る場所

 最近、雲を見るのに相応しい場所を見つけた。『やさと図書館』の閲覧テーブルだ。大きなガラス窓から北の方角の風景が見える。遠くの山肌に点々と白くあるのは山桜だ。手前集落の桜はいまが盛り。まだ、田んぼには何も植わっていない。褐色の濃くなった土が春になったことを知らせている。

 風に乗って、桜の花びらが流れて行く。少し離れて座っている女子中学生の二人がヒソヒソと話している。春休みなのだろう。僕は、ボーっと空を見上げる。雲が流れている。眺めた瞬間は、確かに雲が動いている。しかし、ジーッと見つめるとその動きが止まる。こんな事を、この歳になって、初めて発見したのがすごく嬉しい。

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