不動坂

どこで石榴石が拾えるのかと聞かれたので、30年も昔の記憶を頼りに真壁の山を歩いた。断片的なわずかな記憶だけだ頼りだ。ありがたいことに地形や森の様子はそう変わっていない。でも、訪れる人はほとんどいないようだ。かつて道だったところは、一面草に覆われている。踏み跡もない。蜘蛛の巣を払いながら進むと、高いところから誰かに見られている気配がした。ふと、頭をあげたら、一枚岩の上の岸壁から、お不動様が見下ろしていた。石作りの立派な社に入っている。誰もお参りに来ている様子はないが、まだ信仰はかすかに生きているようだ。挨拶でもと思い、近づいたら、そのギョロ目の素朴な風貌を見て一挙に緊張が和んだ。

そこで、この山道は、昔、「不動坂」と呼ばれていたのを思い出した。

 

「雪入山脈」のタマゴタケ

定例の 自然観察会で、かすみがうら市と八郷の境界となっている「雪入山脈」を歩いた。行きは国有林の中、帰路は尾根道である。尾根に出たら、遠くの霞ヶ浦を背景にして出島や神立の家並みが眺められる。吹き上がって来る風が涼しくて気持ちいい。

ふと、足元に目を向けたら、真っ赤なキノコが生えている。タマゴタケだ!ここにも、あちらにもと仲間の声がする。あちこちに卵の殻を破って、可愛い赤いキノコが顔を出している。タマゴタケは、一見あまりにも派手な色をしているので、毒キノコだと思われているが、実は美味しいキノコなのだ。早速、採取した。
これを今夜の夕食にしよう。パスタにするか?オムレツか。単にバターで焼くのもいいかもしれない。あれこれメニューが浮かぶ。しかし、ふと一瞬、もしかしてタマゴタケに似ている毒キノコかも?という思いも頭をよぎる(笑)

 

 

梅雨の晴れ間

昨日は、定例の筑波山観察会だった。梅雨の晴れ間の気持ち良い天気だった。この季節、咲いている花は少ない。それでも、ヤマアジサイやノリウツギなどの白い花が、深い緑の陰でひっそりと咲いていた。

ヤマアジサイ

山頂付近では気温が低いせいか、今がウツギの花盛り。そこに、様々な蝶や蜂たちが蜜を求めて訪れていた。その中にアサギマダラの姿を見つけた。この蝶は、南から北へ往復して旅するので有名であり、大型でフワフワとゆったり飛ぶ姿がたいへん美しい。羽根を広げたところを撮影したかったが、なかなか僕の言うことを聞いてくれない。アサギ(浅葱)の名前の由来となった半透明の薄い青緑色の内側が見たかったのに。

ウツギの花とアサギマダラ

 

筑波山を歩いて

定例の筑波山自然観察会に参加してきた。春の花が終わり、夏の花はこれからだ。濃くなった緑の下に山道が続く。時々、目に付くのは白い花。ヒメウツギ、モリイバラの清楚な花が美しい。キビタキ、ヤブサメ、クロツグミが囀っていた。

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自然研究路
ヒメウツギ
モリイバラ
ツリバナ

昨年の筑波山は、ここ二十年来のブナの豊作年だった。地面にブナの実の殻がかたまって落ちていた。数年前から山頂部のスズタケが一斉に枯れて、地面がむき出しになっている。ブナが芽生えるチャンスだ!どこかに実生苗が生えていないだろうかと探して、ついに見つけた。まだ、双葉が残っているブナの赤ちゃんが落ち葉の間から顔を出していた。無事に大きく育って欲しい!そして、大木になって欲しい。

ブナの殻
ブナの幼木