赤色土の泥染

友人のKちゃんが、泥染めをするという。そこで、僕も以前から知っている「赤い土」を持って参加することにした。これは、小屋脇の林道を少し登った所に露出している。この土を見つけた時は驚いた。赤色の濃さが周囲の関東ローム層の土、いわゆる普通の赤土とは全く違うのだ。乾いても赤いままである。素人の考えだが、これは、オーストラリア東部、インド、北アメリカ南東部などにものと同じく、地質時代に地球が温暖だった頃に生成された赤色土の残存物、すなわち「古赤色土」に違いないと思っている。そういえば、この林道の山道を、昔は「赤坂」と呼んでいたと古老から教えてもらった。この赤色土から名付けられたのかもしれない。

すでに、Kちゃんも同じような赤い土を用意していた。聞いたら、僕が採取した場所の近くの土だという。僕と同じ地層の「古赤色土」なのだろう。この土を、篩って小枝やゴミを取り除き、水を加えてドロドロにする。濃いオレンジ色の絵の具を溶いたようである。この中に、布のところどころをくくったり切り抜いた板などを挟んで、色水が染み込まないところを作り模様を描いた。その後、どっぷりとドロドロの色水に着けて、次に水で洗い流す。泥が落ちたら日光に晒す。すると、すっかり布にオレンジ色が染み付いて模様が現れる。

秋晴れの下、子供も大人も、両手を真っ赤にしての泥遊びである。なんだか、原始人かアポリジ二にでもなったような気分である。実に楽しい。この大地の赤い色は、はるか遠くの原始の記憶を呼び覚ます作用があるようだ。