流山の自宅から八郷に戻る途中、牛久市の女化神社に寄った。この神社は、龍ケ崎市の飛び地、だから、正確には龍ヶ崎市の女化神社が正しい。3、40年も昔のこと、この神社にお参りして、その後、拝殿の裏側の道路を横断して更にまっすぐ北に向かって歩いて行った記憶がかすかにある。そこには深い森があって、塚のようなところだったように覚えている。鳥居もあったかもしれない。ここが、本当にお狐様を祀っていつところで、そこには実際にキツネが住んでいるとも聞いた。
今回、神社に寄った訳は、その記憶が夢だったのか現実だったのかを確かめたくなったからだ。
小道は北に向かって、まっすぐに続いている。遠くの方に赤い鳥居が見える。はやる気持ちで小道を進むと、小さな鳥居が森の外れに立っていた。更に先に続いている。両側から大きな木が茂り、道は薄暗くなる。地面には、木漏れ日が落ちて光の模様となっている。やはり、現実だった!夢ではなかった! やがて、小道は常緑の木々に囲まれた丸い空き地のようなところで終わった。わずかに高くなった円地の周囲には、幾つもの小さなお稲荷さんが祀られていた。ここまで来る人はほとんどいないのだろう。ひっそりとして、不気味なほどの静寂が漂っている。やはり、ここは特別な聖地のようである。
小屋に戻ってから、ネットで調べたら、どうやらここは「女化神社の奥の院」らしい。
女化神社の伝説では、命を助けられたキツネが、美しくて優しい女性になって(化けて)嫁となって恩返ししたが、ある日、うっかり昼寝していて尻尾を出してしまい、子供達にその正体を見破られて一緒に暮らせなくなってしまった。その母親のキツネが逃げ込んだ場所が、今日僕が訪れた場所だという。やはり、特別な場所だったのだ!
いまでも、この周辺は丘陵が複雑に入り組み、深い林や田んぼが広がっている。昔は、キツネがたくさん住んでいたのだろう。いや、いまでもキツネがいてもおかしくない。もしかすると、この場所は、稲荷信仰から、里の人が、実物のキツネに好物を捧げていた場所かもしれない。人間と狐の接点の場所だったのかもしれない。